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2012/2/28 「コンニャク屋漂流記」 星野 博美 文藝春秋 ★★★
コンニャク屋という屋号を持つ漁師一族の漂流記である、と記して始まったこの物語は、漁師の末裔である著者が、3年に渡ってその一族の系譜をさかのぼった記録です。
現代を生きる著者は、この作品を書くためにほとんど3年にわたって過去に旅をしていた、といいます。
その執念にも似た頑張りに驚かされました。
先祖というものに、ここまで思いを寄せるものなのか、これも遺伝子のなせる業かと。
内容は違いすぎるけど、「ルーツ」を思い出させる作品です。人々の記憶の中に、人は生き続けることが出来るんだとあらためて思いました。
そして、肉親とはなんて温かいものなんだろうとも思いました。
自分のご先祖に、思わず思いをはせ、見ることのかなわない過去へ旅してみたい気持ちが沸き起こる、そんな作品です。
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Categorie:ノンフィクション
Genre:小説・文学 Theme:ノンフィクション
2012/2/25 「生きる」 工藤 幸男 日本文芸社 ★★★
昨年3月11日、大船渡東高校で被災し、妻と次男、そして住居を失った著者が、震災直後から書き始めた手記。
被災者本人が書いたものだけに、その日々の暮しや心情が生々しく伝わってきます。
寒さ、食事、トイレ、そして見つからない次男や妻への思い。
国語の教師なのだそうで、文章を書くことは得意なのかもしれませんが、書くことが気持ちのはけ口となったと、自身も語っています。
3週間ほどして、震災直後は高揚していた気持ちが落ち込みへと転じ、もう頑張れない、頑張れといってほしくないと苦しむ著者。
やがて次男の遺体が見つかりますが、奥さんは今も行方不明のままなのだとか。
そんな中で、残された2人の息子との暮しが始まります。料理を教え、生きる術を教える父としての姿。
残されたものはこうして生きていかないといけないんだなあ、と思いました。
もうすぐ1年になるんですね・・・。
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Categorie:ノンフィクション
Genre:小説・文学 Theme:ノンフィクション
2012/2/24 「緑の毒」 桐野 夏生 角川書店 ★★★☆
開業医の川辺康之は、美しい妻カオルが救命救急センターの医師、玉木との逢瀬でいない水曜日の夜、スタンガンと薬で昏睡させた女性を強姦する犯行を繰り返していた。被害者が犯罪ネットに書き込みをしたことから、同じ被害にあったもの同士が連絡を取り合うようになるが・・・。
川辺の犯行は本当に卑劣なものなのだが、読んでいてドロドロとした怒りとか恨みとか、暗い気持ちにならないのは、「人間なんてこんなもん、馬鹿な生き物」という感じの突き放した書き方を筆者がしていて、読み手もそれを受けて冷静になれるからなんだろうか?
最後は被害者たちが思いっきり川辺に仕返しするし、すっきり。桐野さんの作品にしては短いほうだと思うけど、よくまとまっていて面白く読める。
人として何とも哀れで情けない川辺の人格が、実にうまく描けていて、桐野さんてすごい、とあらためて思った作品でした。
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Categorie:小説
Genre:本・雑誌 Theme:こんな本を読んだ
2012/2/23 「マラソン1年生」 たかぎ なおこ メディアファクトリー ★★★★
運動が苦手で大人になってからはすっかりスポーツから遠ざかっていた著者が、ふとTVで見た東京マラソン。楽しそうに走っている人たちを見て、「私も走ってみよう」と、2008年春、マラソンを始めたのですが・・・。
なんか、漫画家とかイラストレーターって、猫と一緒にゴロゴロしているイメージで、スポーツなんてしないのだろうと勝手に思ってた。
だからこの本を読んで本当にびっくりしたんです。
たかぎさんたら、5キロから始まって、どんどん距離を伸ばし、国内ハーフマラソンを2回経験した後、ついにハワイのホノルルマラソン、フルマラソンに出てしまうんだもの。しかも5時間ちょいで完走!すごーーーい!
ホノルルマラソンで完走したシーンでは、私思わずジワワ〜と涙腺が緩みました。
仲間とともに走って、食べて、飲んで、すごく楽しそう。食欲はあるし、良く眠れるし、風邪もひかない、本当に健康的ですね。
ちょっと前に、たかぎさんの「ローカルごはん旅」というのも読んだけど、おいしそうですごくいいんだけど、ともかく食べてばっかで、小食の私は胃が重くなりました。
でもこの本はとても健康的!しっかり走って、汗かいて、その後にビールとごはんだもんね。
マラソンというスポーツ、その裏側もしっかり書けてて、面白かったです。あと、他の本にも登場する、大食いのかとうさんが面白い!
あと、マラソン仲間ののりこさんが、東京マラソンに出て、走っている間ずっと幸せだったと言うところがすごく良かったです。
たかぎさんの本はどれも面白いけど、本書はその中でもとってもお勧めの本です。
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Categorie:漫画
Genre:本・雑誌 Theme:こんな本を読んだ
2012/2/22 「のこされた動物たち」 太田 康介 飛鳥新社 ★★★☆
福島の原発事故後、原発から20キロ圏内の人影もない街を徘徊する犬たちの写真を見た著者は、つめるだけの水とドックフードを車に載せ、福島を目指した。
その後の3ヶ月で17回現地入りした、カメラマンである著者は、動物たちを保護しながら残された動物たちの写真を撮り続けた。それをまとめたのが本著である。
この前に読んだゴン太郎のブログ本とは正反対の、つらい内容の本です。
人とともに暮らし、愛され、大切に世話されていたであろう、犬、猫、牛、豚、鶏たち。
やせ衰えてさまよう犬、猫。水を求めて用水路の中で身動きのとれなくなった牛や、主無き家を守って傷だらけになっている犬もいました。
保護しようとしても家から離れない犬は、きっといつか主人が帰ってきてくれると信じているのでしょうか。
突然の事故に、まさか帰れなくなるとは思わず、ペットや家畜を置いて逃げた人々。
戻りたくても戻れない場所に、あえて踏み込んで動物を助けている人もいる。人ってすごい、と思います。
でもそれはすべてボランティアで、国や行政ではないですよね。彼らがしたのは安楽死くらいですよね。まあ、人間の避難さえきちんと助けていないくらいですから、動物など無理でしょうけど。
原発を推進してきた人々や、行政や東電の方々に、ぜひ見てもらいたい本です。
この、動物たちの物言わぬ目を、どうか見てほしい。
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Categorie:ノンフィクション
Genre:本・雑誌 Theme:こんな本を読んだ